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【日语共读】《山茶文具店》(27)

在镰仓,有一家帮人代笔的文具店,每代店主均由女性担任,只要有委托便会接受,即使是餐厅的菜单也会帮忙。

不知不觉间,雨宫鸠子成为了第11代传人,而与外祖母之间的误会,以及开始独自一人活在世上的恐惧,使她充满迷茫。给死去宠物的吊唁信、宣布离婚的公告信、拒绝借钱的回绝信、写给挚友的分手信……一封封代笔信是客人们的写实生活,也是一节节人生的课堂




编辑 | 山风 · 主播 | 小角

ライトアップされた八幡はちまん様さまに見惚みとれていたら、ふと、餡あんパンのことを思おもい出した。せっかくバーバラ婦人ふじんと海うみで食たべようと思おもって買かったのに、結局けっきょくふたつとも私わたしのバッグの中なかにある。お行儀ぎょうぎが悪わるいと知しりつつ、こっそり、バスの中なかで餡あんパンを齧かじった。

我看着被灯光照亮的八幡宫出了神,突然想起了红豆面包。原本打算和芭芭拉夫人去海边吃,才特地买了面包,结果两个都原封不动地放在我的包包里。虽然明知道很没礼貌,但还是偷偷在公交车上吃起了红豆面包。

フランスパンのようなわりと硬かためのパン生地きじの中なかに、ふんわりあんこが包つつまれている。餡あんは私わたしの好すきなこし餡あんで、一緒しょに甘酸あまずっぱい杏子あんずのような果物くだものも混まざっている。

像法国面包般偏硬的外皮里包着松软的红豆沙。内馅除了我喜欢的红豆沙,还加了像是杏桃般酸酸甜甜的水果。

バーバラ婦人ふじんの分ぶんは、袋ふくろに入れて家いえの玄関げんかんのドアノブにさげておこう。明日あしたから、ツバキ文具店ぶんぐてんが再開さいかいする。

决定等会儿要把芭芭拉夫人的红豆面包装进袋子,挂在她家大门的门把上。山茶文具店明天又要开张营业了。

家いえの鍵かぎを開あけて中なかに入はいると、どこから不思議ふしぎな音おとがした。

どうやら、留守るす中ちゅうに鈴虫すずむしが迷まよい込こんだらしい。さっきから、リーンリーンと涼すずしげな音おとが響ひびいている。見みつけて家いえの外そとに出でてやろうと思おもったけれど、もうしばらく、鈴虫すずむしの音色ねいろを鑑賞かんしょうすることにした。

打开门锁走进家门时,屋内传来了奇妙的声音。

我出门时,似乎有金琵琶闯进了屋内。从刚才就一直发出“铃铃铃铃”的清脆叫声。原本打算找到它后,把它放到屋外,但最后决定继续欣赏一下金琵琶的鸣叫声。

なんとなくお酒さけが飲のみたくなり、スシ子こおばさんがおいていった梅酒うめしゅをコップに注そそぐ。食たべ物ものに困こまらない人生じんせいになるように、先代せんだいは「カシ子こ」、その双子ふたごの妹いもうとは「スシ子こ」と名付なづけられた。実際じっさいにその願ねがいが叶かなえられる人生じんせいになったのかどうかは、微妙びみょうである。お菓子かしとお寿司すしに縁えんのある名前なまえのふたりの姉妹しまいは、今いま、仲良なかよく同おなじお墓はかに入はいっている。

我不由得想喝点酒,把寿司子姨婆留下的梅酒倒进杯里。上代的父母期望她们一辈子不愁吃,为上代取名“点心子”,为她的双胞胎妹妹取了“寿司子”的名字。至于她们的人生是否真的如了此愿,似乎一言难尽。这对名字和点心、寿司有关的姐妹,如今相亲相爱地长眠在同一座墓中。

ふと、お盆ぼんだったことに気きづいて、仏ほとけ様さまに梅酒うめしゅをお供そなえした。

我突然想到现在正是中元节,立刻把梅酒供在佛坛前。

スシ子こおばさんは時々ときどきお酒さけを嗜たしなんだが、先代せんだいは下戸げこだった。顔かおはそっくりなのに、性格せいかくはおもしろいほどに違ちがった。誰だれかに物ものをいただいた時とき、本当ほんとうにすみませんと恐縮きょうしゅくして謝あやまるのが先代せんだいなら、笑顔えがおでありがとうとお礼れいを言いうのがスシ子こおばさんだった。

寿司子姨婆有时候会喝酒,但上代滴酒不沾。虽然她们长得一模一样,但性格相差十万八千里。有人送东西上门时,上代每每诚惶诚恐地道歉说:“真不好意思。”但寿司子姨婆总是面带笑容地向对方道谢。

鈴虫すずむしの独唱どくしょうに合あわせるように、鈴りんを一回いっかいだけ鳴ならして合掌がっしょうする。

我配合金琵琶的独唱,敲了一声铜磬,合掌祭拜。

鈴虫すずむしが、秋あきを運はこんで来きたらしい。

どこからか、ひんやりとした風かぜが入はいってくる。

金琵琶似乎带来了秋天。

不知道从哪里吹来一丝凉风。

秋あきは、誰だれかに手紙てがみを出だしたくなる季節きせつなのかもしれない。

秋天,或许是个会让人想写信的季节。

このところ、代書だいしょ依頼いらいが続つづいている。

这一阵子连续接到代笔的工作。

依頼いらいを受うけるのは、置手紙おきてがみや災害さいがいのお見舞みまい、就職しゅうしょく失敗しっぱいを励はげます手紙てがみや、お酒さけの席せきでの失態しったいを詫わびる手紙てがみなど、面めんと向むかっては言いいにくいことを文字もじにする場合ばあいが大半たいはんを占しめる。

前来委托的多半是留言条、对方发生不幸时的问候信、找工作失败的鼓励信,以及为自己在酒后失态道歉的信,把很难当面说出口的话诉诸文字。

そんな中なか、平凡へいぼんな手紙てがみを書かいてほしいという依頼いらいが舞まい込こんだ。

也有客人委托我写一封平淡无奇的信。

「ふつうの手紙てがみでも、書かいていただけるんですか?」

“你可以为我写很普通的信吗?”

控ひかえめに、園田そのださんは言いった。

园田先生很委婉地说。

「ただ、僕ぼくが生いきているってことを、伝つたえたいだけなんです」

“我只想告诉她,我还活着。”

静しずかで落おち着ついた声こえは、まるで美うつくしい丘おかの上うえをそよぐ一筋ひとすじの風かぜのようだった。

他平静而稳重的说话声,就像美丽山丘上吹过的一丝微风。

「お相手あいては?」

私わたしも、園田そのださんの真似まねをしてひっそりとした声こえを出だす。

“要写给谁?”

我也模仿园田先生小声说话。

「幼馴染おさななじみです。かつては結婚けっこんの約束やくそくをしていたのですが、結局けっきょくは結むすばれませんでした。その後あと、僕ぼくは別べつの女性じょせいと結婚けっこんして子こどもがおりますし、人ひとづてに、彼女かのじょも最近さいきん伴侶はんりょを見みつけ、北国きたぐにの町まちで幸しあわせに暮くらしていると聞ききました。だから、今いまさらどうこうって話はなしではないんです。もう二十年にじゅうねん以上いじょうも会あっていませんし。ただ、ひとこと、僕ぼくも元気げんきだと伝つたえたいんです」

“我的青梅竹马。虽然我们曾经私订终身,但最后并没有走上红毯。后来,我娶了其他女人、生了孩子;听说她最近也找到了另一半,在北国的城市过着幸福的生活。事到如今,我并不打算吹皱一池春水。我们已经有二十多年没见面,只是想告诉她,我身体很健康。”

それだったら、自分じぶんで書かくこともできるのに。

既然这样,你完全可以自己写这封信。

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